とあるレンジャーの休日
紫乃は、歩の前に座りながら考える。
(ドア開けたら、起きちゃうかな)
これまでの感じだと、寝るときは割とあっさり寝るが、短時間でパッと起きてしまう。
うっかり大きな音を立てたら、台無しだ。
まずはこの眠りを優先させなくては――
紫乃は再び足音を忍ばせて、さっきまで寝転がっていた布団の反対側に回った。
そうして横になると、歩の静かに揺れ動く肩や背中を見つめる。
(これは、眼福……)
――やはり彼は、紫乃の理想そのものな身体つきをしている。
歩が眠っているのをこれ幸いに、紫乃は思う存分、彼の背中を眺め回した。
(クセになったら、どうしよう)
紫乃は、歩の不眠を言い訳にしながら、毎晩こうして彼の姿を眺めに来てしまいそうな自分に気付き、深く自省した。