とあるレンジャーの休日

(ああ、そうだった)

 ここは、紫乃の家。
 医師である彼女に預けられ、自分はここに来たのだ。

「なんで、紫乃まで寝てんの」

 そもそも、自分はいつの間に寝てしまったのだろうか。

 眠りに落ちる前の記憶が怪しかった。
 昨晩は、またいつものように眠れず、膝を抱えていたら紫乃が来て、それから――

「やべえ」

 歩は頭を抱え、眠っている紫乃に背を向ける。

――急に部屋に入ってきて、添い寝をすると言い出した彼女。

 隣に寝転んで、手を握り、かわいいと笑われたところまで、徐々にハッキリ思い出してきた。

「勘弁してよ……」

 しかし、そこから記憶がない。
 つまり自分はその辺りで寝落ちてしまったということだろうか。

(なんでだ?)

 自分で自分がよく分からなかった。
 なんでその状況で眠ってしまえるのか。
 しかも、朝までグッスリと。

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