とあるレンジャーの休日

「意味わかんねえ」

 ブツブツと呟いていたら、背後でゴソリと何かが動く気配がした。

「歩……?」

 サッと血の気が引き、同時に心臓がドクドクと激しい鼓動を打ち始める。

 おそるおそる振り返ると、紫乃がまだ寝転がったまま、シーツに顔を半分埋めて、目を開けていた。

「よく眠れた?」

 パジャマ姿の彼女は、横になっているせいで、その細いウエストのラインがくっきりとしている。
 捲れた袖や裾からは、白い肌や細い腕、足首やつま先などが覗いていた。

 その、いかにも寝起きの、気が抜けきった雰囲気にやられそうになり、歩は速攻で立ち上がる。

(これ以上は無理――!)

 ここ数年、恋人はおらず、女っ気は皆無に等しかった。
 所属部隊には女性隊員もゼロ。
 そんな状況で、ましてや、気になり始めている女性と、目覚めたら二人きりとか――

 歩は一人、部屋を飛び出し、半分駆け足で階段を下りていった。

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