とあるレンジャーの休日
「本当、なんなの、あの人」
女だという自覚があるのだろうか。
――というより、もしかしたら自分の方が男として見られていないのではないか。
嫌な予感に、ぶるりと全身を震わせながら、歩はトイレに駆け込む。
ドアを閉めて鍵をかけると、やっと大きく息を吐き、その場にしゃがみ込んだ。
「男っていうか、まるっきり子ども扱いだったよな」
歳は、二つしか違わないのに。
やたらとドキドキする胸に、イラつきが重なり、歩は頭を抱えて大きなため息を吐いた。
「昨日知り合ったばっかで……こんなんアリかよ」
認めたくないのに、そう思えば思うほど、強く自覚してしまう。
混乱する気持ちを持て余し、歩はそこがトイレであることをしばし忘れて、悩み続けた。