とあるレンジャーの休日

 紫乃は機嫌よく微笑みながら、ダイニングへと戻っていった。





 朝食時だけは、家族が全員揃う。

 清二郎の向かいに吾郎。
 その隣に歩が座り、歩の向かいが紫乃だ。

 目玉焼きに、焼いた鮭。
 納豆と味噌汁、サラダに漬け物。
 作り置きの煮物を小鉢にして並べる。

 紫乃が歩の顔を窺うと、まだかまだかと言いたげな表情をしていた。

 今の時間は8時。
 駐屯地では起床から終業まで、すべて決められた時間に沿って行動させられる。
 朝食は確か、もっと早い時間のはずだった。

「はい、どうぞ」

 紫乃がごはんをよそった茶碗を渡して、そう口にした途端、歩は「いただきます!」と声を上げ、ものすごい勢いで食べ始めた。
 やはりお腹が空いていたらしい。

(調子が悪いわけじゃなさそう)

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