とあるレンジャーの休日

 紫乃は自分も席につき、目の前で次々と皿を平らげていく歩を呆気に取られながら見つめていた。

 歩の隣で、吾郎がカカカと笑う。

「やっぱり若い野郎は、よく食うな」

 紫乃の横で、清二郎も歩の食べっぷりを楽しげに見つめながら言った。

「さすがの吾郎も、ここまでは食わなくなったしな」

「年取ると燃費が良くなる一方でね」

「たしかに」

 紫乃は、普段は寡黙な祖父と父が穏やかに会話しているのを、微笑ましい気持ちで聞いていた。
 そして、もう空になってしまった歩の茶碗を受け取り、二杯目をよそってやる。

「ありがと!」

「これも食べる?」

 紫乃が、まだ箸を付けていない鮭と目玉焼きを差し出すと、歩は「いいの?」と遠慮がちに見上げてきた。

「いいよ。なんか、見てるだけでお腹いっぱいになってきちゃった」

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