とあるレンジャーの休日
「この時期は、本当頭が痛いわ」
紫乃は誰にともなく呟いて、ため息を吐く。
店に着くと、店頭で朝市が開かれているのを見て、彼女は、表情をパッと明るくした。
(ラッキー!)
朝市は、地場産の新鮮な野菜が安く手に入るので、とても重宝する。
特に今は、大食らいな居候が一人、増えてしまったことだし。
「よし! 狩りだ、狩り!」
紫乃は大きく肩を回して気合いを入れ、朝市のテントの中へ入って行った。
紫乃は台所に籠もり、買ってきた野菜を切ったり漬けたり冷凍したりしながら、次々と加工していった。
昼食の簡単な仕込みまで終えたら、次は回し終わった洗濯物を干しに行く。
ベランダに出るついでに歩の部屋へ入り、布団を干そうとして、畳の上に広げてある制服に気付いた。
自衛官は身だしなみを特に厳しく注意される。
支給される隊服は、汚れやシワ、綻びがないよう手入れしなくてはならないのだ。