とあるレンジャーの休日
(そろそろ、衣替えの時期か)
常装と呼ばれる深緑色の制服を着た陸上自衛官たちは、やはり格好良いし、とても素敵だと思う。
紫乃としては、筋肉の動きが見にくくなるのが、多少残念だけれども。
歩が並べたのであろう制服の胸元には、金属製の徽章(きしょう)が複数並べられていた。
月桂冠の中にダイヤモンドを象ったものが『レンジャー徽章』だ。
その上に両翼の付いたパラシュートを象った『空挺徽章』。
それも頭に丸い台座が付いており、中にはFFの文字。
FFはフリー・フォールの略であり、空挺団の中でも自由降下課程を修了した、本物の精鋭の証だった。
「おお……初めて見た」
紫乃は制服の前にしゃがみこみ、そのバッジをマジマジ眺める。
「すごいなぁ、歩」
レンジャーの訓練は相当厳しいと聞く。
当然、有事の際にも、それ相応の厳しい任務を課せられるのだろう。
「紫乃? 何してんの」