とあるレンジャーの休日
歩は、うつむいてしまった紫乃の顔を覗き込み、柔らかい笑みを見せて言った。
「いいんだよ、紫乃がそんな顔しなくても。これは俺が、自分で見つけなきゃいけない答えだから」
「そんな顔って?」
紫乃は、自分がどんな顔をしているのか分からず、そう問いかけた。
歩は「うーん」と言葉を選んでから、からかうように答える。
「なかなか出なくて踏んばってるみたいな、顔?」
紫乃は眉根を寄せ、剣呑な顔つきをして、歩を睨みつけた。
「そんな顔見たことないクセに! 朝、踏んばってたのは歩のほうでしょ」
「それ、違うっつったろ!」
歩も顔色を変えて、勢いよく噛みついてくる。
――まるで小学生のようなやり取り。
紫乃はすっくと立ち上がり、畳に膝をついていた歩に手を差し出した。