とあるレンジャーの休日
「何?」
「お子さまに手を貸してあげようと思って」
「あんだと?」
歩はこめかみをピクリと震わせ、怒った顔で、紫乃の手を軽く払った。
そして立ち上がるのと同時に、いきなり彼女の両腿を抱え、身体を荷物のように担ぎ上げてしまう。
「ぎゃあっ!」
いきなり視界が揺れ、身体が浮いた紫乃は、驚いて叫んだ。
それを聞いた歩が、おかしそうに笑う。
「『ぎゃあ』だって。色気ねーなぁ」
「ちょっと! 何してんのっ、降ろして!」
さすがに鍛えているだけあり、紫乃が腕をつっぱって暴れても、歩はビクともしなかった。
「降ろせー!」
「もう子ども扱いしないって、約束しろよ」
歩が拗ねた調子でそう呟くのを聞き、紫乃は目を丸くする。