とあるレンジャーの休日

 そして顔色が良くない。
 様子が気になり、紫乃は彼に近づくと、目の前にしゃがんで顔を覗き込んだ。

「大丈夫? 横になりたければ先に中へ入ってていいよ」

 彼の手首を掴み、脈を確認してから、首に両手を伸ばす。
 すると、目を閉じていた彼がパッと顔を上げ、咄嗟に紫乃の手を振り払った。

「わっ」

「あ……」

 目を見開く紫乃と、しまったという表情をする彼。
 目が合い、紫乃は初めて正面からまともに彼の顔を見た。
 そして、その整った顔立ちに驚く。

 精悍で野性的な目をしていながら、童顔なせいか、あどけなさも感じさせる。
 少年の面影を残した美しい青年。

 紫乃はすぐさま手を引くと、何事もなかったかのように笑みを浮かべた。

「私はここの医者だよ。君の喉に腫れがないか確認したいんだけど……触ってもいいかな?」

「ああ……、はい」

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