とあるレンジャーの休日
秋になり空気が冷えて乾燥してくると、感染症の患者が増えるのだ。
診療所に入ると、清二郎はすでに診察を始めており、薫子が別室で虎視眈々と待ち構えていた。
「紫乃先生、遅いです! 受付一番の患者さん、整形ですよ」
「ごめん。待合いに入れてあげて」
「もう入ってます」
紫乃が肩をすくめてカルテを開くと、薫子は意味ありげな視線を向けてくる。
「宮園くんとイチャイチャしてたんですか?」
紫乃は、椅子の肘掛けに手をかけ損なって姿勢を崩し、机の角に足をぶつけた。
「痛っ! あ、歩は預かりもんだって言ったでしょ。変に勘ぐらないの」
痛みをこらえつつ、ぶつけた足を撫でさする。
薫子は待合いのドアを開きながら、呆れた表情を紫乃に向けた。
「先生……分かってない」
「何が?」