とあるレンジャーの休日
軽い足取りで風呂場へ向かう歩の背中を見つめながら、あっという間に馴染んでしまった彼の存在を、紫乃は不思議に思う。
そして、午後のお出かけを楽しみにしている自分に気付き、少し慌てた。
彼はいずれ、空へ帰る身の上。
空挺団の本拠地は、ここから遠く離れた場所にある。
自衛官は、たとえ営外居住を認められたとしても、駐屯地から離れた場所には住めないのだ。
そしてそれは、紫乃も同じで――……
そこまで考えて、紫乃はハッとし、頭をブルブル振った。
(住む場所とか、関係ないしっ!)
思考がおかしな方向を向いている。
紫乃はそれを、変なことばかり言う薫子のせいだということにして、キッチンに入って行った。