シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~
二日目の夜、わたしは悶々としていた。
遥人に恋の告白をされるシチュエーションを思い描いていたら、眠気はどこへやら、全く寝つけなくなったのだ。
もし次に二人きりになって、遥人がわたしを憎からず思っている様子を見せたなら、わたしはどうすればいいのだろう。
中二の容れ物に二十二歳の魂が入った今のわたし。
一番大切にしたいのは、バンドの未来だ。
そのためには、バンドの和を乱すような恋なんて絶対禁止。しない方がいい。
十四歳の頃、わたしは早く大人になりたいと願っていた。大人になれば、身体も心も強くなるはずと信じていた。できることが増えて、くよくよ悩むことが減って、悩みのない日々を送れるんじゃないかと思っていたのだ。
でも現実は甘くなかった。大人と呼ばれる年齢になっても、ちっとも思い描いていた大人になれていない。
慣れない寝袋の中、何度目かの窮屈な寝返りを打つ。
周囲からは複数の寝息が聞こえている。隣の亜依は十秒で眠る特技の持ち主だからいいとして、前の晩はこそこそとささやき合っていた先輩たちも、今夜は疲れたのか、お喋りを切り上げて睡眠を取ることにしたらしい。
遥人に恋の告白をされるシチュエーションを思い描いていたら、眠気はどこへやら、全く寝つけなくなったのだ。
もし次に二人きりになって、遥人がわたしを憎からず思っている様子を見せたなら、わたしはどうすればいいのだろう。
中二の容れ物に二十二歳の魂が入った今のわたし。
一番大切にしたいのは、バンドの未来だ。
そのためには、バンドの和を乱すような恋なんて絶対禁止。しない方がいい。
十四歳の頃、わたしは早く大人になりたいと願っていた。大人になれば、身体も心も強くなるはずと信じていた。できることが増えて、くよくよ悩むことが減って、悩みのない日々を送れるんじゃないかと思っていたのだ。
でも現実は甘くなかった。大人と呼ばれる年齢になっても、ちっとも思い描いていた大人になれていない。
慣れない寝袋の中、何度目かの窮屈な寝返りを打つ。
周囲からは複数の寝息が聞こえている。隣の亜依は十秒で眠る特技の持ち主だからいいとして、前の晩はこそこそとささやき合っていた先輩たちも、今夜は疲れたのか、お喋りを切り上げて睡眠を取ることにしたらしい。