シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~
「……遥人がいないけど」
「気になる?」
「えっ」
航がからかうように笑った。
「未波ちゃんは遥人大好きだもんなぁ」
「そんなことないよ。みんな好きだし……」
「でも遥人は特別でしょ?」
亜依が、はいはい、と会話を引き取った。
「からかわないの。ハルももうすぐ来ると思うよ。さっき、あんたが眠ってる間に連絡があったから」
わたしはなんとか笑顔を作った。
世界の成り立ちをうまく把握できない、そんな気分だった。
ここに自分の身体があって、重力のおかげで宙に浮くことなく座っていられる。当たり前の事実が不思議に思える。
一定方向に流れるはずの時間を、二度もさかのぼったせいで、今ここにいる自分すらも信じられない。
「今って、秋だよね。わたしたち、大学生だよね」
「そうだよー。記憶喪失とか悪い冗談やめてね。そんなことになったら、せっかくもらった内定、取り消されちゃうよ。悲劇だよ」
「内定……」
「やだほんとに憶えてないの? どんだけ深く寝てたんだか」
「気になる?」
「えっ」
航がからかうように笑った。
「未波ちゃんは遥人大好きだもんなぁ」
「そんなことないよ。みんな好きだし……」
「でも遥人は特別でしょ?」
亜依が、はいはい、と会話を引き取った。
「からかわないの。ハルももうすぐ来ると思うよ。さっき、あんたが眠ってる間に連絡があったから」
わたしはなんとか笑顔を作った。
世界の成り立ちをうまく把握できない、そんな気分だった。
ここに自分の身体があって、重力のおかげで宙に浮くことなく座っていられる。当たり前の事実が不思議に思える。
一定方向に流れるはずの時間を、二度もさかのぼったせいで、今ここにいる自分すらも信じられない。
「今って、秋だよね。わたしたち、大学生だよね」
「そうだよー。記憶喪失とか悪い冗談やめてね。そんなことになったら、せっかくもらった内定、取り消されちゃうよ。悲劇だよ」
「内定……」
「やだほんとに憶えてないの? どんだけ深く寝てたんだか」