シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~
「音楽系の部活なら他にもあるのに、どうして軽音にしたの?」
「中学に入ったら、クラシック以外をやってみたいと思ってたんだ。今でもピアノは習ってるし」
「自分のやりたいことをそんなに早くから考えてたなんてすごいね」
「いやー、親は反対してる」
「なおさらすごいよ。自分の気持ちを貫くなんて」
航は照れたけれど、わたしは本気で感心していた。
他に居場所が見つけられなかったわたしとは違う。
「成績、オール4以上っていうのが、部活続ける条件なんだ。国語と英語はいいけど、他が結構厳しい」
高校に上がり、航の成績が徐々に悪くなるのを知っているわたしは、何も言えなかった。
家に帰りついた後、制服を脱いだ。
もうお腹はいっぱいだったので、お母さんの作ったおかずは食べずに、自分の部屋にこもった。
携帯を見ると、航からメールが来ていた。
『亜衣からアドレス聞いた。初めての曲作り、どうにか形になりそう』
わたしがいなくなった学校で、楽しそうに音を合わせている三人を想像してみる。これでよかったんだと思えた。
あれ以上、わたしにできることはなかった。
合宿に顔を出したのだから、八年前とは違う。
それだけで、ささやかな達成感がわたしを包んだ。
『よかったね』と短く返信し、慣れ親しんだ自分のベッドに潜り込んだ。
「中学に入ったら、クラシック以外をやってみたいと思ってたんだ。今でもピアノは習ってるし」
「自分のやりたいことをそんなに早くから考えてたなんてすごいね」
「いやー、親は反対してる」
「なおさらすごいよ。自分の気持ちを貫くなんて」
航は照れたけれど、わたしは本気で感心していた。
他に居場所が見つけられなかったわたしとは違う。
「成績、オール4以上っていうのが、部活続ける条件なんだ。国語と英語はいいけど、他が結構厳しい」
高校に上がり、航の成績が徐々に悪くなるのを知っているわたしは、何も言えなかった。
家に帰りついた後、制服を脱いだ。
もうお腹はいっぱいだったので、お母さんの作ったおかずは食べずに、自分の部屋にこもった。
携帯を見ると、航からメールが来ていた。
『亜衣からアドレス聞いた。初めての曲作り、どうにか形になりそう』
わたしがいなくなった学校で、楽しそうに音を合わせている三人を想像してみる。これでよかったんだと思えた。
あれ以上、わたしにできることはなかった。
合宿に顔を出したのだから、八年前とは違う。
それだけで、ささやかな達成感がわたしを包んだ。
『よかったね』と短く返信し、慣れ親しんだ自分のベッドに潜り込んだ。