シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~
22-2 夢と夢
意識が揺れる。
遠いところを漂っていた自分の部品が、引力に導かれるように、すうっと集まって体内に戻ってくる。
鼓動。
血流。
呼吸。
電気。
動くもの。ひとところに留まっていないもの。オンとオフを繰り返し、変化し続ける集合体。
それがわたし。
朦朧とする意識を手繰り寄せて、
年を取った自分に気づく。
中学生じゃない。大人だ。
カーキ色のスカートに、白いモヘアのセーター。
目の前に置かれたビールのコップは飲みかけで、ガラスの表面に汗をかいている。
飲みきってしまおう、と手を伸ばすと、
「未波! 未波、ちょっと飲み過ぎだって」
亜依に止められた。
わたしよりも少し高い体温。
亜依に叱られるとわたしはとても安心する。まだ見捨てられてない、と思う。
だからもう少し、甘えてみる。
「飲みたいよぉぉ……」
「もう充分でしょ。ろれつ回ってないくせに何言ってんだか」
「だって喉渇いちゃった」
「あーはいはい、じゃ、水ね。すみませーん、お水もらえますかー? はい、ひとつ」
遠いところを漂っていた自分の部品が、引力に導かれるように、すうっと集まって体内に戻ってくる。
鼓動。
血流。
呼吸。
電気。
動くもの。ひとところに留まっていないもの。オンとオフを繰り返し、変化し続ける集合体。
それがわたし。
朦朧とする意識を手繰り寄せて、
年を取った自分に気づく。
中学生じゃない。大人だ。
カーキ色のスカートに、白いモヘアのセーター。
目の前に置かれたビールのコップは飲みかけで、ガラスの表面に汗をかいている。
飲みきってしまおう、と手を伸ばすと、
「未波! 未波、ちょっと飲み過ぎだって」
亜依に止められた。
わたしよりも少し高い体温。
亜依に叱られるとわたしはとても安心する。まだ見捨てられてない、と思う。
だからもう少し、甘えてみる。
「飲みたいよぉぉ……」
「もう充分でしょ。ろれつ回ってないくせに何言ってんだか」
「だって喉渇いちゃった」
「あーはいはい、じゃ、水ね。すみませーん、お水もらえますかー? はい、ひとつ」