Des gouttes de larmes 〜涙の雫〜
『奈々ちゃん地下鉄同じ方向だよね?一緒帰ろ?』




『いいよー。今日はありがとうね。超楽しかった。』




珍しく素直な気持ちが出た。




『俺もめっちゃ楽しかった。あっそうだ、連絡先教えてよ?また飲み行こう!』




『うん!もちろん!誘って誘って。090、』




社交辞令なんかじゃない。本当にまた一緒に飲みたいと思った。



ただ、翔君は社交辞令じゃない事を祈って。




『おっ、やばい、終電もう来る!走ろう!』




『えっ、ちょっ、待って!』




2人で、笑いながら明るい夜の街を走った。




なんとかギリギリで、終電に乗る事が出来た。




『ふぅ〜セーフ。奈々ちゃん大丈夫?』




『な、なんとか。やっぱり、金曜の終電は人多いね。』




バテバテだ。運動不足かな。ダイエットしよう。




『終電逃したら、奈々ちゃんとホテル泊まらなきゃいけなかったよ』




『えっ!その時は私、タクシーで帰るし!』




少しドキッとしてしまった。車内が混雑していて、距離が近いせいかもしれない。




『冗談だよ。冗談』




つり革をくるくるさせながら、翔君がニヤッと笑った。




『今日のバーよかったでしょ?なんか相談したい事あったら行ってみたらいいよ』




『うん。オシャレで雰囲気よかった。西崎さんも超カッコよかったし』




『あ〜西崎さん目当てでは行かない方がいいよー。』




相変わらず、翔君はニヤニヤしている。




『あの人女の子興味ないから。ゲイだから。』




ん?なんですと?ゲイ!?私の恋心を返せ。




『そ、そうなんだ〜』




『あっちょっとショック受けてるでしょ?わかるわかる、あんなにカッコいいのに女に興味ないのもったいないよね。あっでも相談は親身になって聞いてくれるよ』




『相談したくなったら、遊びに行ってみるよ』




あっちが私に興味なくても、目の保養に行くぐらいはいいよね。バチあたらないよね。




『あっ、私ここの駅だから』




『そっか、気をつけて帰ってね。また飲み行こうね。絶対連絡するから』




『うん。翔君も気をつけてね。またね。』




翔君に向かって手を振り、電車を見送った。



楽しかった時間が完全に終わり、少し寂しくなった。



うぅ。ちょっと気持ち悪い。調子に乗って飲みすぎたかな。



私は少し反省しつつ、足早に家へと急いだ。



家に着いた私はシャワーも浴びずにベッドへ倒れこんだ。



私は間もなく眠りについた。今日の余韻に浸りながら。







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