Des gouttes de larmes 〜涙の雫〜
『美味しかった〜。』




『やっぱちゃんとしたレストランは美味しいね。もうちょっと、時間あるみたいだから、甲板に出てみない?』




『うん。行きたい!』




『じゃあ行こっか』




そう言うと、雄大さんはさりげなく、手を出して来た。




私は何のためらいもなく。その手を掴んだ。




『うわ〜。やっぱ寒いね。』




冬の海の上。寒くないわけない。



話す息が白くなる。




『寒い〜でも、夜景綺麗!』




顔は寒かったが、繋いだ手は暖かかった。




『そうだ。これ着てよ』




雄大さんがふわっと、自分の着ていたコートをかけてくれた。




『いや、雄大さん寒いでしょ!』




『全然寒くない!気持ちがあったかいから』




『絶対嘘!でも、ありがとう。コート、ブカブカ〜』




『似合う似合う!』




筋肉質の雄大さんのコートはふたまわりくらい大きかった。




でも、雄大さんの香水の香りに包まれて幸せな気分だった。




『あっそうだ!これ』




『チョコじゃん!嬉しい』




『ハッピーバレンタイン。』



『ありがとう。手作りじゃん』




『見た目はイマイチだけど、味はまぁまぁだと思う』




『凄く嬉しいよ。いただきます。
うん、美味しい。』




雄大さんの笑顔で、お腹がくすぐったく感じた。




久しぶりにキュンとした。




目の前には、夜景達がより一層輝いて見えた。




『さっき、私にふられてたらどうしました?』




『冬の海に飛び込んでた』




『ダメ、死んじゃう』




2人で大笑いした。




『本当は夜景見ながら、甲板で告白しようと色々考えてたんだけど、止まらなくなっちゃった』




苦笑いする雄大さんも可愛い。




『私は、本当嬉しかったです。』




私は素直な気持ちを伝えた。




神様ありがとう。




星に向かって神様に感謝の気持ちを伝えた。
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