ヘタレな貴方と強がりな私


宇津木くんは
小鳥遊くんより2つ年上の25歳
なら先輩にあたるのではないかと思ったが
宇津木くんは笑いながら
“色んな事情です”と答えを濁した


そうですか、とその場を後にしようと思ったが
宇津木くんなら知っているのではないかと
私は意を決して聞いてみた



『あの、小鳥遊くんは元気にしてますか?』



宇津木くんは驚いた顔をした
思った以上に声が大きく
店内に響き渡ってしまった
カーッ、と顔が赤くなるのがわかり
すみません、と頭を下げ
立ち去ろうとした


「あ、ちょっと待ってください」


優しく掴まれた腕
払おうと思えば払える
けど、小鳥遊くんの状況が知りたく
私の足は止まってしまった

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