ヘタレな貴方と強がりな私
どうぞ、と
湯気が立つコーヒーを差し出してくれた
そんなに込み入った話になるのかと
腕時計で時間を確認する
「あれ、予定とかあります?」
『…娘を迎えに行く時間があって』
私の答えに、また驚いた顔をした
そして私の左手へと視線を移した
『…シングルマザーです』
「そうでしたか。すみません」
なら要件だけ話します、と
宇津木くんは話し出した
『奏は元気にしてますよ。相変わらずお客には人気だし、見かけによらず仕事は真面目』
元気にしていると聞いてホッとした
元気ならそれでいい
それが聞けたら十分だと思ったが
宇津木くんは話しをやめなかった