ヘタレな貴方と強がりな私
あっ、
思い出せそうで
思い出せなかった
離婚した当時
自分に余裕がなく
一度だけ、
奈津に当たってしまったことがあった
“おかあさん、ごめんなさい”
奈津は何も悪くないのに謝ってくれて
私にしがみついてきた
奈津には私しかいないのに…
その時の不安な瞳と
小鳥遊くんの瞳が…同じだ
私は小鳥遊くんを見放したりできない
奈津が必要なように
小鳥遊くんも必要なんだ
小鳥遊くんの背中へ腕を回し
小鳥遊くんの胸に顔を埋めた
『…一緒に、いて』
ずっと言いたくて
でも、言えなかった言葉
やっと言えた言葉に
今まで我慢していたものが流れた
でもそれは辛いものではなく
とても幸せなものだ