ヘタレな貴方と強がりな私


シャツを通して伝わってくる熱と
早い鼓動が緊張の表れだ


「…同じ、でしょ?」


『…小鳥遊くんでも、緊張するの?』


それでも余裕な小鳥遊くんに
皮肉に似た言葉をぶつけてしまう
でも小鳥遊くんはニコッと笑って


「男は余裕ないと、カッコ悪い。それに…、優奈さんの見たことない姿、ちゃんと見たい」


カッコ悪いところなんて
たくさん見てきた
今更何を言ってるの、と言いたくなるが
もう、そんな余裕、私には無さそうだ


小鳥遊くんに触れられるだけで
私の身体はどうにかなりそうになる


小さな声が漏れ
それを我慢したくて
手で口を抑えれば


「優奈さんの声、聞きたい」


聞いたことのない甘い声だ

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