空色プレリュード
一人、取り残された結は呟いた。


「留学?‥て何?」

この呟きには誰も答えることはなかった。






「ただいまー!!ごめん。遅くなって!カレー粉がなくて駅前まで行っちゃった。お腹、減ってない?」

私は家の中に飛び込んだ。


「あっ!花音おかえり!全然大丈夫だよ。じゃあ、最後の仕上げに入ろう!」

結ちゃんは笑顔で言った。






「いただきます!!」


いろいろなことがありながらもやっとカレーを作ることができた。

二人で作ったカレーはおいしかった。

「二人で作るとおいしいね!作りがいがあるよー。」

私は結ちゃんに笑いかけた。

「うん!おいしい!部活をやった後てお腹すごく減るから、おいしく感じる!花音、一緒に作ってよかったね!」

そう言う結ちゃんの顔にも笑顔があった。

私と結ちゃんは学校のこと家のことを話しながら夕食を食べた。

「へぇー。結ちゃんには弟がいるんだ。」

「そう。すごく生意気な弟だけど、すごくかわいいんだ!今は部活とかあってそんなに話すことはないけどね。」

「兄弟いると楽しそう!」

「じゃあ、今度は花音が家に遊びに来なよ!狭いから泊まることはできないけどね。」

「行く行く!弟くんに会ってみたい!あっ、お母さんにも会ってみたいなー。」

「いいよいいよ。来て!母も喜ぶから。」

私と結ちゃんの会話はよくはずみ、気がつくとお皿は空っぽになっていた。

そこから私と結ちゃんで分担して片付けをした。


「結ちゃん、先に風呂入っていいよ。」

休憩した後、私はお風呂の湯をわかした。

「先に入っていいの?」

「いいよ。結ちゃんはお客さんだから。」

「では、入らせていただきまする。」

そう言うと結ちゃんは風呂場に行ってしまった。

ふと電話の留守電が点滅していることに気がついた。

見るとお母さんからだった。

「‥お母さん?」

花音は急いで留守電を聞いた。



「留学の件、考えてくれた?」




「!!」

言ってほしくないことを言われた気分だった。

ここで花音はあることに気づいた。

「もしかして‥結ちゃん‥聞いた?」


いや、そんなことないはず。だって気づいたなら結ちゃんが黙ってるはずがない。
じゃあ、本当に気づかなかった?それとも‥


「花音、お風呂ありがとう!あいたよ!」

結ちゃんがお風呂から上がってきた。上下、ジャージをはいていた。

「ひゃあ!!あ‥どういたしまして。」

自分の声にびっくりして恥ずかしくなった。

「どうしたの花音?」

「ううん。なんでもない。お風呂行ってくる。」

私は慌てて風呂場に向かった。



「まさかね‥。」


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