空色プレリュード
後夜祭の約束


「千明くん。こんなに食べて大丈夫なの?」

千明くんの両手にはクレープとフライドポテト。

「大丈夫大丈夫。こう見えて胃は丈夫だから。食べる?」

そう言って、フライドポテトを差し出した。

「ううん。いい。千明くん食べなよ。私、もうお腹いっぱいだから‥。」

「そう?‥あっ‥そうだ!花音。戻る前にもう1つよりたいところがあるんだ。」





そう言って千明くんに連れて来られた場所は運動場のど真ん中に立つやぐらだった。


「これは、何?」

「これ、明日の後夜祭用の物なんだってさ。明日には終わってどんちゃん騒ぎだろうな‥。あー明日が楽しみだな!」

千明くんは嬉しそうに言った。

「なぁ、明日一緒に後夜祭見ないか?」

「うん!いいよ!」

「よしっ!じゃあ約束な!」

千明くんは嬉しそうにガッツポーズをして喜んでいた。

千明くんと一緒に見れるなんてすごく楽しみだな‥。






「ただ今から、第2日目の文化祭を始めさせていただきます。最初の組は‥」



文化祭2日目が始まった。私は1日、裏方での仕事が決まっていた。


主に生徒会と一緒になって、照明をあかるくしたり、音響をしたりしていた。

それはそれは大変な仕事で目が回るような忙しさだった。

順調に進んでそうだったけど、トラブルが起こった。

それは、午後の部が序盤に差し掛かったときだった。



「なんだって!!軽音部が欠席だって!?」

文化祭実行委員の男子生徒が大声をあげた。私たち役員は一斉にその声のする方へ目をむけた。

「はい‥。軽音部のボーカルが休みなので出場は辞退するていう連絡が‥。」


「そんな急に言われても‥こっちには予定というものがあるし‥。穴をあけるわけにも‥。スケジュール的に開けちゃうと後夜祭の時間まで空いちゃう‥。どうしようか‥。」

すると実行委員の先輩と目が合った。

「そうだ‥!橋村さん!確か、天才ピアノ少女だったよね!?」

ズキッ!

また‥その名を‥

「だったら、軽音部の使うはずだった時間を橋村さんが埋めてくれないかな!?頼む!お願いします!」

「‥で‥でも私は‥何もひけないです!」

「そこをなんとかお願いします!天才ならなんでもひけるでしょう?曲目は橋村さんにまかせるから!お願いします!」


天才、天才ばかり言わないで!!!

天才だからて何でもひけるわけじゃない!



でも、そんなことは言えなかった。


「‥わかりました。‥私、やります。」

「ありがとう!橋村さん!今すぐ準備するぞ!」


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