ネガイボシ
「現れた星の模様が、千夏が見た不思議な星だったら? 独り言が増えたんじゃなくて、会話をしてたんだとしたら?
『ななよ』が『七夜』のことだとしたら?
……ななよの願いは、その夫が星を数えた時に叶ったってことになる。恐らくそれは七夜の墓石の所で」

「傍にいたい……。その願いが叶った?」

「そう。それに、死後の七夜には実体はなかったから、千夏が半透明になったことも納得できる。
だから、昨日叶ったのは千夏の願いでも、俺の願いでもない」


私は、自然に口を開いた。


「七夜さんの、願いだったんだ……」




―――七つ瞬く闇に咲き

七つ星が夜空に輝いて


――――七つ数へむ黒の下

 七つ星の数をその下で数える



――七つ聞く刻風立ちて

数えたのが聞こえると風が吹いて


―――――七夜の願ひ叶へけむ

 ななよの願いが叶うだろう





「ねぇ、雅樹……。ななよさんの墓石の場所に行ってみない?
何となくだけど、行かなきゃいけない気がするの」
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