枯木に花を咲かせませう
「付いてりゃえぇのにつったってよ、付いてりゃ、付けすぎとったら、垂れるしよ。したら、地面がタレで、汚れるべや」

「理屈くせぇ」

「おい、箸と皿もってけ」

「ん?!」

「箸と皿もってけっての」

「んなもんねぇわ」

「あるだろが。家行って、取ってこいっての」

「あんたが行けば~」

「なにを~」

「まあまあ。ほら、向かいのじいさんくに、病気の女の子がおったでしょう。あんたその子に、さくら見せてやりたかったんじゃないの」

「花じゃなく、焼き肉咲かせてしもたわ」

「ほんに、華やかでないねぇ」

「せやけど、葉っぱとちごて、食べれるんでょ」

「ポチも喜びますね」

「ポチには、食べさせん」

「なんでよ。なんで、そないに意地悪するん。ポチになんぞ恨みでもあるん?」

「おい、向かいのおじい、呼んでこ」

「なんぞ」

「宴会ぞ」

「病気の娘の看病しとろう」

「辛気くさいわね、たまには、パァッとせんか。オヤジが晴れたら、娘も、ちったぁ、良くなるて」

「分かったわ。ポチには、やらんの」

「ポチには、やらん」

「何でやの」

「勝手にわんくで食やえんじゃ」





おわり
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