愛していました
「明日、病院行こっか」

「うん」


母の声に恐怖さえ感じた

いつかその感情は爆発してしまうのか




「13週ですね。」


3ヶ月をすぎたら決めていた


「下ろす?」


母はそれしか考えていないのだろう


「産む。この子には生きる権利がある。
それを奪う権利は私にはないから」




今の私からはおすすめできる考えじゃない

ただ、小さな命を奪うことはあの時の私にはできなかった


なに馬鹿なこと言ってるの?

母の目はそんなことを言ってるようだった



「先生、産んだらダメでしょうか?」



「ダメということはないわ。
ただね、産んだあとに赤ちゃんを育てていけるか が問われるんじゃないかしら」



そのとおりだ


職もなければまだ義務教育の身である私には育てられるような環境じゃない



勝手ながら父の頑固さを受け継いだ私は
諦めたくなかった



頑固な父がこの話を聞いたらどう思う?


でも嫌だ、産みたい


本当に私は頑固だ
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