泣かないで、楓
新春1月1日。年もまだ明けたばかりの、午前6時。僕は合鍵をポケットから出し、事務所の冷たいドアノブを回した。扉を少し開くと、部屋の中の冷たい空気が、眠気まなこをかすめる。部屋の電気を点け、僕は足の踏み場が無いほど荷物が置かれている、事務所の奥にある衣装部屋へと向かった。
ウチの事務所のは、冷暖完備である。夏はとてつもなく暑く、冬はめちゃくちゃ寒い。経費削減の為、空調は社長の一存により、オールシーズン集合時間まで、使用を許可されていない。素晴らしいエコ対策だ。そしてあまりにもセコい話だ。
ある先輩から聞いた話だが、お正月の三が日は、ヒーローショー業界では一番の繁忙期となるらしい。各地の遊園地やイベント会場は、お正月休みのファミリーで満杯になり、おめでたい雰囲気に包まれながらショーをしなきゃいけないと、哀しそうな目つきで教えてくれた。
壁にハンガー吊けをしてある大量のヒーロースーツや、怪人の着ぐるみを見ると、つい「正月くらい休めよ」と言いたくなってしまう気持ちだ。
ウチの事務所のは、冷暖完備である。夏はとてつもなく暑く、冬はめちゃくちゃ寒い。経費削減の為、空調は社長の一存により、オールシーズン集合時間まで、使用を許可されていない。素晴らしいエコ対策だ。そしてあまりにもセコい話だ。
ある先輩から聞いた話だが、お正月の三が日は、ヒーローショー業界では一番の繁忙期となるらしい。各地の遊園地やイベント会場は、お正月休みのファミリーで満杯になり、おめでたい雰囲気に包まれながらショーをしなきゃいけないと、哀しそうな目つきで教えてくれた。
壁にハンガー吊けをしてある大量のヒーロースーツや、怪人の着ぐるみを見ると、つい「正月くらい休めよ」と言いたくなってしまう気持ちだ。