泣かないで、楓
「英里りん、今日はワシと一緒に現場に出よう」
「ええっ!? 事務所の留守番じゃなかったんですかぁ?」
「正月から、誰も来たりせんわ。どこもかしこも休みだから、大丈夫だ」
「はぁ……」
浅沼さんの目から、明らかに『面倒くさい』と言う意思が感じ取れた。
「と言うか、アタシは現場に行って、何をするんですかぁ?」
「全体のサポートをやってもらう。ワシが全部教えるから、ずっと傍(そば)にいるんだぞ」
「はぁぁい。分かりましたぁ」
ウキウキしている源場社長を尻目に、浅沼さんは気の抜けた声で返事をした。
源場社長の魂胆(こんたん)は見え見えなので、もはやツッこむ気にもなれない。普段はこの2人が事務所に残り、留守番をしている。しかし、社長は忙しく、事務所を出たり入ったりしている為、浅沼さんが1人になる事が多い。
予定が何もない今日は、二人っきりでゆっくり出来ると、きっと社長は企んでいたのだろう。しかし、結局は人数不足で、自分も現場に行くハメとなってしまい……。
そこまでして、2人になる時間を作りたいのかな。僕はそうとしか思えなかった。
「ええっ!? 事務所の留守番じゃなかったんですかぁ?」
「正月から、誰も来たりせんわ。どこもかしこも休みだから、大丈夫だ」
「はぁ……」
浅沼さんの目から、明らかに『面倒くさい』と言う意思が感じ取れた。
「と言うか、アタシは現場に行って、何をするんですかぁ?」
「全体のサポートをやってもらう。ワシが全部教えるから、ずっと傍(そば)にいるんだぞ」
「はぁぁい。分かりましたぁ」
ウキウキしている源場社長を尻目に、浅沼さんは気の抜けた声で返事をした。
源場社長の魂胆(こんたん)は見え見えなので、もはやツッこむ気にもなれない。普段はこの2人が事務所に残り、留守番をしている。しかし、社長は忙しく、事務所を出たり入ったりしている為、浅沼さんが1人になる事が多い。
予定が何もない今日は、二人っきりでゆっくり出来ると、きっと社長は企んでいたのだろう。しかし、結局は人数不足で、自分も現場に行くハメとなってしまい……。
そこまでして、2人になる時間を作りたいのかな。僕はそうとしか思えなかった。