泣かないで、楓
「会場は外ですかぁ?」
「知らん。おい吉伸、どうなってるんだ?」
源場社長は声のトーンを低くし、吉伸先輩に聞いた。この態度の違いは何だろう。
「外ですわ。屋根も無いけぇ、雪が残っちょるかもしれんです」
「だって。英里りんは寒いから、ショー中は楽屋にいようね~」
コロコロと変わる源場社長の声のトーンに、僕は笑いをこらえるのに必死だった。
「楽屋は見んと分からんですが、もしかしたら、狭いかもしれんですけぇ」
「はぁ? 楽屋が狭かったら、英里りんのいるスペースは無い、って言う事か吉伸? あ?」
「いや、そう言う意味じゃなあですけん。すんません」
源場社長の大人げない発言に対し、吉伸先輩は相手にしなかった。
その後の車内は、ラジオの声だけが響く空間となった。車が進むにつれ、路面はだんだんと雪道へと変わっていく。窓に付着する雪の量も、ワイパーを活用しないといけないほど多くなってきた。除雪車も両レーンで走っており、どうやら僕らは、本格的な雪の地域へとやって来たみたいだ。
「知らん。おい吉伸、どうなってるんだ?」
源場社長は声のトーンを低くし、吉伸先輩に聞いた。この態度の違いは何だろう。
「外ですわ。屋根も無いけぇ、雪が残っちょるかもしれんです」
「だって。英里りんは寒いから、ショー中は楽屋にいようね~」
コロコロと変わる源場社長の声のトーンに、僕は笑いをこらえるのに必死だった。
「楽屋は見んと分からんですが、もしかしたら、狭いかもしれんですけぇ」
「はぁ? 楽屋が狭かったら、英里りんのいるスペースは無い、って言う事か吉伸? あ?」
「いや、そう言う意味じゃなあですけん。すんません」
源場社長の大人げない発言に対し、吉伸先輩は相手にしなかった。
その後の車内は、ラジオの声だけが響く空間となった。車が進むにつれ、路面はだんだんと雪道へと変わっていく。窓に付着する雪の量も、ワイパーを活用しないといけないほど多くなってきた。除雪車も両レーンで走っており、どうやら僕らは、本格的な雪の地域へとやって来たみたいだ。