泣かないで、楓
午前8時30分過ぎ。僕らは、ショー会場のショッピングモールに到着した。空は晴れているが、やはりここでも粉雪がチラチラと降っていた。白い息を大量に吐きながら、僕と楓はショーで使う荷物を降ろした。
「雪道だから、気をつけろよ」
僕は衣装が入ったスーツケースを両手に抱えている、楓に声をかけた。楓からは、返事がなかった。楓は雪道をザクザクと踏みしめ、僕の前を素早く歩いていった。
「恭平さん、手伝いますよ?」
ちさとさんがひょっこり僕の横に来て、両手に持ったスーツケースの1つを持ってくれた。
「あ、ありがとうございます」
「うふふ。大変そうですもんね」
「あ、で、でも……」
楓の方を、と言おうと思った瞬間、楓の横には、吉伸先輩が来た。そして、楓から一つスーツケースを受け取り、2人は並んで歩いた。
「最近あの2人、仲いいんですかね?」
僕は楓と吉伸先輩に指を差し、抱えている疑問をちさとさんに投げてみた。
「どうなんでしょう? 私は何も感じませんけど」
ちさとさんは、あっけらかんと答えた。
「私、人を好きになる事があまりないんで。そう言うのって、よく分からないんですよ。ごめんなさい」
そう言うとちさとさんは、僕にペコリ、と頭を下げた。いや別に、そんな事くらいで謝らなくてもいいんですけど。
「雪道だから、気をつけろよ」
僕は衣装が入ったスーツケースを両手に抱えている、楓に声をかけた。楓からは、返事がなかった。楓は雪道をザクザクと踏みしめ、僕の前を素早く歩いていった。
「恭平さん、手伝いますよ?」
ちさとさんがひょっこり僕の横に来て、両手に持ったスーツケースの1つを持ってくれた。
「あ、ありがとうございます」
「うふふ。大変そうですもんね」
「あ、で、でも……」
楓の方を、と言おうと思った瞬間、楓の横には、吉伸先輩が来た。そして、楓から一つスーツケースを受け取り、2人は並んで歩いた。
「最近あの2人、仲いいんですかね?」
僕は楓と吉伸先輩に指を差し、抱えている疑問をちさとさんに投げてみた。
「どうなんでしょう? 私は何も感じませんけど」
ちさとさんは、あっけらかんと答えた。
「私、人を好きになる事があまりないんで。そう言うのって、よく分からないんですよ。ごめんなさい」
そう言うとちさとさんは、僕にペコリ、と頭を下げた。いや別に、そんな事くらいで謝らなくてもいいんですけど。