君が涙を忘れる日まで。
短い旅の始まり。



ふらふらと雲の上を行くような不安定な足取りで、薄い灯りを頼りに歩きながら答えを求めて頭の中を必死に掻き回すけれど、混乱するばかりだった。

それでも不安や恐怖心が最小限に留まってくれているのは、私が今……一人じゃないからだろう。


ゆっくりと足を進めながらようやく外に出ると、涼しく穏やかな風が肩先まで伸びた私の髪を何度も優しく揺らす。


夜とも朝とも言えない薄く白い空を見上げると、心と体がジンジンと痛む気がした。





「ごめんね」

「なにが?」

「巻き込んじゃって……」

「別に巻き込まれたなんて思ってねーよ」


ガードレールに寄り掛かりながら両腕を伸ばしてあくびをすると、その切れ長の目がきらりと光った。


「これからどうしよう……」

「そうだな~。行くところもないし、とりあえずブラブラするか」

「……いいの?」

「別に、暇だし」






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