君が涙を忘れる日まで。
文化祭が始まる時間が迫ってきたところで、少々大袈裟なほどのお化けメイクを完成させた。


あまり人目についてはいけないけど、樋口のことが気になった俺は、教室からちょっと顔を出して廊下を覗いた。


お化けが教室から顔だけ出してるんだから、廊下から見たらある意味お化け屋敷より怖いだろうな。


けどそんなことは気にせず顔を出していると、廊下の先から歩いてくる樋口を見つけた。



隣には、修司もいる。




「幸野君なにしてんの?マジそれ怖いんですけど」


クラスの女子達が俺を見て爆笑してるけど、樋口は俺に気付かない。


ロン毛の血まみれお化けがドアから顔を出しているというのに、全く目に入っていない。


樋口は隣にいる修司を見上げて、楽しそうに笑いながら四組に入っていった。


あんな真剣な表情で走ってたからなにかあったのかと心配したけど、笑ってるじゃん。

よかった。樋口、笑ってたな。



よし、俺も頑張って驚かそう。

文化祭お決まりのお化け屋敷の中でも、伝説的に怖いと思われるくらい。



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