君が涙を忘れる日まで。

後日、修司から浅木のことを少しだけ聞いた。

女子の虐めは面倒だ。実際目撃したことはないけど、男には分からない世界が色々とあるんだろうなーって思う。


浅木はマネージャーの仕事も一生懸命だし人当たりも良いし、ある意味修司に似ているのかもしれない。

だから、そんな浅木が虐められる意味が分からない。

女って、本当に理解できないな。


でもそのことがきっかけで、距離があった樋口と浅木がまた前みたいな関係に戻った。

表面上はな……。



二年になった俺は樋口と同じクラスになり、しかも修司と浅木も同じ。

俺は正直嬉しかったけど、樋口は違うのかもしれない。


俺の席は廊下側のうしろから二番目。そしてその横、窓際のうしろから二番目が、樋口の席。

壁に寄り掛かって机に肘を付いていると、樋口の横顔がよく見える。


窓の外がいくら晴れていても、樋口の顏はいつも曇っていた。

前を向いている時の横顔は、まるで明日世界が終ってしまうかのような悲痛な表情を浮かべている。


樋口は毎日、心の中でなにを思ってるんだろう。

教室でも部活でも、口を開けて楽しそうに笑っている。

だけどさ、すげー下手くそなんだ。

あの頃見た樋口の笑顔とはまるで違っていて、笑ってるはずなのに俺にはそう見えない。


なぁ樋口、お前……なんで泣いてんだよ。


その顔の理由は、誰にも話さないのか?

このままずっとそうやって、笑ってる〝ふり〟をするのか?


同じクラスになったことをきっかけに少しずつ仲良くなって、いつか樋口の気持の全てを知りたい。

いつか……。





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