君が涙を忘れる日まで。
学活が始まると、昨日の予告通り委員会決めが始まった。

先生が各委員会の名前を黒板に書きだしている。


「何にする?」

前の席のアユミが振り向いて聞いてきた。

「迷ってるんだよね。どんな内容なのか詳しいことはやってみなきゃ分からないし」


本当にどうしよう。とにかく図書委員だけは避けたい。

静かな空間でジッとしてるなんて絶対眠くなっちゃうでしょ。


園田君はなにをやるのかな。振り返りたいけど、出来ない。


「……えー、じゃあとりあえず立候補でいこうか。かぶったらじゃんけんな」


先生がそう言って一つ一つ委員会の名前を読み上げ、そのたびに手を上げた人の名前を書き込む。


図書委員って、意外に人気があるんだ。六人も立候補してるし。

あーもう、本当にどうしよう。風紀委員も絶対無理だし、そしたら残りは……。


「次、文化委員。誰かいるか?」


文化委員って、文化祭実行委員みたいなものだよね。

多分凄く面倒くさいだろうな、でも文化祭の時にだけ頑張ればいいんだから……。


意を決して手を上げた私は、他にいないかどうか確認するため、ゆっくりと教室を見渡した。


すると、うしろの方で伸びている手。その手を見た私は、思わず自分の腕を下げてしまった。


「なんだ樋口、やるのかやらないのか?」

「や、やります」


再び手を上げ、もう一人の立候補者の方を見ると、お互い確認するかのように合う視線。


「よし、他にいないなら文化委員は決定な。樋口と、園田っと」


黒板には文化委員の文字の下に並ぶ、私と園田君の名前。


文化祭はまだ先だけど、絶対に大変だということは分かる。それなのに、楽しみで仕方がなかった。


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