君が涙を忘れる日まで。
・
・
・
・
・
目が覚めると、俺は制服のまま……俺を見下ろしていた。
目を瞑ったままの俺、色んなコードが布団の中から伸びている。
死んだかどうかなんて、どうでもよかった。
そのまま病室を出た俺は、キョロキョロと辺りを見渡す。
「幸野……君?」
その声を聞いた途端、涙が溢れてきた。
でも俺は、必死にそれを拭い、振り返る。
酷く怯えた様子で、不安そうな目で俺を見ている。
ようやく……俺を見てくれた。
「樋口……」
ゆっくりと歩み寄り、怖いくらい静かな廊下で見つめ合った。
「幸野君、私のことが見えるの?」
「……えっ?ああ」
そう言った瞬間、樋口の表情が少しだけホッとしたように見えた。
「私、死んだのかな……」
「いや、分かんねぇけど」
どこに行くと決めたわけじゃないけど、俺達は歩き出した。
「幸野君は、なんでここにいるの?」
「ばっ……ばあちゃんが入院してて、気づいたら寝ちゃってさ……」
「そっか……」