君が涙を忘れる日まで。



病院を出ると、まだ外は薄暗かった。



「ごめんね」


「なにが?」


「巻き込んじゃって……」


「別に巻き込まれたなんて思ってねーよ」




巻き込まれたわけじゃない。

俺が自分から、お前の側に駆け寄ったんだ。



好きだから。


樋口奈々のことが、大好きだから……。



お前の話を聞かせてほしい。


たとえばあの時なにを思っていたのか、なんで笑ってたのか。


なんで……泣いていたのかを……。










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