君が涙を忘れる日まで。
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「部活っていつまで?」
ホームルームが終わったところで、鞄を持ち上げながらアユミが聞いてきた。
「来週の火曜までだよ」
「そっかー、毎日練習とかマジ凄いよね。頑張ってね」
「うん、じゃーね」
うちの学校では、テストの一週間前から部活動は停止になる。
正直勉強もやるから部活もやらせてほしいけど、そういうわけにもいかない。
中学からバスケを初めて、すっかりバスケの楽しさにはまってしまった私は、高校でも当然ながらバスケ部に入部した。
この高校は強いというわけじゃないけど、勝ちたいという意識の高い先輩達や、ちょっと怖い顧問の先生も私にはいい刺激になる。
次の大会、まだ私は出れないと思うけど、勝ちたいな。
ジャージに着替え、入学祝いに買ってもらったお気に入りの赤いバッシュを手に持ち、体育館へ向かった。
一年生はまだ部室を使えないから、鞄は体育館の隅に置く決まりになっている。
鞄を下す前に一度スマホを確認すると、香乃からLINEが入っていた。
[部活頑張ってねー。ていうか私風邪引いたかも。鼻水とまんないよー]
風邪か、そういえばここ一年は引いてないかも。
そう思いながらスマホをしまい、まだ誰も来ていない体育館でバッシュを履いていた。
今日はバレー部が体育館の半面を使う日で、もう半面を男子と女子のバスケ部が半分ずつ使うことになる。
「あれ?まだ一人?」
突然聞こえてきた声に驚いて顔を上げると、白いTシャツにジャージ姿の園田君が立っていた。
「あ、うん。私急いで来たから」
園田君が同じバスケ部だということも、もう随分前から知っていた。
でもこうして体育館で言葉を交わすのは、これが初めてだ。
もしかしたら今朝の挨拶をきっかけに仲良くなれるかもしれない。そんな期待が膨らむ。