君が涙を忘れる日まで。
なんだ、思ってたよりも自然に話せてるじゃん。こんなことならもっと早く話しかければよかった。


「もうすぐテストだな」

「そうだね」

「家帰ってからとかいくらでも勉強する時間あるし、部活停止する必要ないのにな。せめて一時間くらいはやらせてほしいよ」

園田君も、私と同じ事を思ってたんだ。


「私もそう思う」

「だろ?特に俺なんて初心者だからさ、一週間以上部活ないと手の感覚が忘れちゃうんだよな」

自分の大きな手を顔の前にかざして眺めている園田君。


うちの近くにバスケットゴールも設置してる広いグラウンドがあるけど、そこで一緒にやろうと言ったら、迷惑かな。

さすがにまだそこまでするには早すぎる気がするけど。


「あのさ……うちの近くにね、無料で遊べるグラウンドがあるんだ。バスケのゴールもあって……」

「マジ?誰でもやれるの?」

私の不安をよそに、目を輝かせながら私を見つめた。


「うん、人が使ってる時は待たなきゃいけないけど、平日の夜とか休日の早朝だったら空いてることが多いよ」

「今度そこ教えてよ。休みの日なんて特に一日中勉強してるわけじゃないし、行ってみたい」


一緒に……っていうことでいいのかな。休日に、二人で……。


「とりあえず交換しない?」

「え?」


園田君が鞄から取り出したのは、スマホだった。


「番号交換しようよ、LINEはやってる?」

「あっ、うん、やってるよ」

「じゃーその場所後で時間ある時LINEで送ってくれる?」

「分かった」


交換した後スマホを確認すると、そこには確かに[園田修司]の文字があった。


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