君が涙を忘れる日まで。
文化祭にさよなら。
*
「では、四組はポップコーン屋ってことで、賛成の人は拍手をお願いします」
教壇に立っている修司の言葉に、教室中が拍手の音に包まれた。
私は黒板に書かれているポップコーンの文字に、赤いチョークで丸を付ける。
私と修司、そしてアユミを含めた五名が文化祭実行委員となり、早速その日の放課後、教室で役割分担ややらなければいけないことの話し合いをすることとなった。
中学と違って色んな食べ物なども扱えるから、高校の文化祭というものにちょっとした憧れを抱いていた私。
文化委員に立候補した理由はそれも少しあるかな。
「ポップコーンの機械は借りられる所があるみたいだからそこは問題ないとして、味付けどうするかはそれぞれ考えてこよう」
「あっ、じゃあ機械は私先生に聞いて電話したりするよ」
「ありがとう、じゃーそれは奈々頼むな。部活忙しいのに助かるよ」
「そんなのはお互いさまでしょ」
話し合いでは修司が仕切り、私はノートにメモを取る書記のような役割をしていた。
「あとはポスターと教室の装飾だな」
「私ポスターやろうか?奈々がいるから実行委員に立候補したけど、バイト忙しくてもしかしたら思うように手伝えないかもしれないし。でもイラストならこう見えて結構得意だから」
手を上げたアユミはロングの茶髪が目を引く今時の女子高生っていう感じの女子だけど、前にアユミが書いたイラストを見せてもらったことがあったから、絵が上手いのは知っていた。
「マジで?すげー助かる。俺絶望的に絵が下手だからさ、アユミみたいに絵が上手い奴って尊敬するわ」
揉めることなく上手に進行していく修司は、きっとリーダー向きなんだ。
おまけに褒めるのがとても上手だし。
「任せてよ」
アユミは嬉しそうにはにかみながら、早速イメージを園田君に相談している。