君が涙を忘れる日まで。
クリスマスにさよなら。
*
文化祭も無事終わり学校はテストモードに入っているけれど、その前に部活の新人戦が待っている。
しかも試合形式の練習の時、私はレギュラーとして二年生に加わる回数も増えてきたから、もしかしたら試合に出られるかもしれない。
だから正直テストよりも部活のことで今は頭がいっぱいだ。
「練習どう?」
授業が終わって部活に向かう途中、体育館の手前で修司に声をかけられた。
「あ、ビックリした。修司か」
「奈々の実力ならスタメンで出れんじゃないのか?」
お互い紺のジャージ上下姿で、体育館の前に立ち止まる。
こうして立っているだけでも、風を受けると首筋にスッと冷たい空気を感じる季節になってきた。
「分からないけど、でも試合には出たいから頑張るよ。そっちも頑張ってね」
「俺は全然だけど、一応俺なりにやってるかな」
そんなことない。修司は一人で朝練をしたり、練習後も時間ギリギリまで頑張ってること、私は知ってるから。
初心者だというのを強みに変えて、経験者の部員よりずっとずっと成長してる。
だから修司は、部員数の多い男バスの中にいたって、きっといつかチームの中心になれると私は信じてる。
体育館に入りバッシュを履いてウォーミングアップを初めていると、体育館の入口に香乃が立っていることに気が付いた私は、香乃に向かって手を上げた。
だけどその視線は私ではなく、もっと奥に向いているようだった。
香乃、どうしたんだろう。
するとようやく私に気付いた香乃が、体育館の隅を申し訳なさそうに歩きながら近付いて来た。
「こんなところでなにしてるの?」
「あのね奈々、ずっと言おうと思ってたんだけど中々言えなくて、私ね……」
何故だか心臓がドキドキして、言いようのない不安が胸に広がっていた。
「私、男バスのマネージャーになろうと思って」