君が涙を忘れる日まで。


再びドアに隠れた私は、そのまま寄り掛かるようにしてしゃがみこんだ。


修司の声が、傷ついた私の心をかすめる。




『実は、俺も……』





とめどなく溢れてくる涙が、拭っても拭っても頬を伝う。


自分の足じゃないかのように、もつれ絡まり、上手く走れない。


それでも走った。


駅に向かう生徒に気付かれないよう、必死に。



電車に乗ってからは、空いている席に座ってずっと俯いていた。


伸びっぱなしの髪の毛でなんとか顔を隠しながら、早く着けと祈り続ける。




家に帰った私は、そのままベッドにうつ伏せになって倒れた。


声が漏れてしまわないように、枕に顔を埋める。



どれくらい時間が経ったのかなんて分からない。


重い瞼、頭がボーっとして、胸がズキズキと痛む……。



ゆっくり顔をあげると、床に転がり落ちている手袋が目に入った。



早く……忘れよう……。



大丈夫。


きっとすぐに、忘れられるから……。







ーーーさよなら、クリスマス。










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