君が涙を忘れる日まで。
アユミの話によると、一組のあるグループが香乃を虐めているらしい。

いわゆる目立つ女子の集団というやつだ。


クラスの女子に香乃を無視するように言ったり、香乃がひとりでいる時に悪口を言ったり。

正直とても高校生とは思えないくらい、くだらない虐めだと思った。


「アユミはどうして知ったの?」

「一組に同じ中学の子がいて、教えてくれたの。上履きに画鋲入れられたり、授業で書いた習字を破られたりもしたんだって」

「くだらない……。昭和かよ」

「だよね。まぁでもあと少しでクラス替えだし。うちのクラスはそういうのなかったから平和だよね~」


確かに、あと少し我慢すればクラスもバラバラになって、虐めも治まるかもしれない。

でも今、香乃はどういう気持ちなんだろう。


「ああいう虐めするような奴ってさ、付き合ってるわけでもないのに仲良くしただけでキレるタイプだよね」

「うん。でもさ、私も一応修司と仲良かった気がするけど……」

「まぁ奈々の場合は本当に友達って感じだから、嫉妬の対象にはならなかったんじゃない?」

そっか、傍から見ても私達はそうだったんだ。

香乃を虐めるくらいなら、私のところにくればよかったのに。



「誰と付き合おうが関係ないし、いつまでもそんなことしたって意味ないのにね~」


アユミの言葉は、まるで自分に向けられているかのようだった。

香乃を避けたままで、目を逸らし続けて、それでこの気持ちはどうにかなるんだろうか。


だけど二ヶ月以上近くもこういう状態なんだから、今さら元には戻せない。



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