君が涙を忘れる日まで。
「なにがあったんだよ」
腰を屈め、心配そうに香乃の顔を覗き込む修司。
「後は香乃から聞いて」
私はそう言って二人に背を向ける。
「待って奈々!私、私……」
香乃の声に足を止めた私は振り返り、微笑んだ。
「やっぱ早起き辛いから、明日一緒に学校行こう」
大丈夫、きっと上手く笑えてる。
これ以上香乃を苦しめないために、香乃のためなら私は笑えるから。
教室を出て廊下を歩いていると、足音と共に私を呼ぶ声が聞えた。
「奈々、奈々!」
「修司……」
「あのさ、ありがとう……。俺なにも気付けなくて。ありがとう、奈々」
名前を呼ばれると、まだ胸が痛む。
優しく微笑みかけられると、泣きたくなる。
「早く香乃と一緒に部活戻りなよ、先輩に怒られるよ。ってヤバい、私もだった。じゃーね」
走り出した私の視界が、白く霞んでいく。
忘れよう……。
大好きな二人のために。
ーーさよなら、私の恋。
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