君が涙を忘れる日まで。
女子は体育館で、男子は校庭か。

今日はサッカーかな?


視線の先、校庭ではジャージ姿の男子が二ヶ所に分れ、真ん中にいる男子の足元にはボールがある。

先生が笛を吹くと、一斉に動き出す男子。


私はボールを追うわけでもなく、目まぐるしく動き回る男子の中で必死に彼の姿を探した。


最初に電車の中で見た時より少しだけ髪が伸びていて、染めてないって言った髪の色は、太陽の光で自然と茶色く見える。


入部した頃に比べたら、初心者だとは思えない程バスケはかなり上達した。

でも、サッカーは苦手なのかな。


ドリブルをしようとボールを蹴ると足からすぐに離れてしまうし、シュートなのか分からないけど、思い切り蹴ったボールはとんでもない方向に吹っ飛んだ。


そんな修司の姿に、私は思わずクスッと笑う。


失敗しても下手でも一生懸命で、とても楽しそうに大きな口を開けて笑う修司。

こうして遠くから見ているだけで、それだけでいい。

私の気持が伝わらなくても、女子の中では仲のいい友達。そう思ってくれるだけでいいんだ。


彼女の幼馴染というだけで、あなたの目に映る回数が他の子よりも少しだけ多ければ、幸せだと思えるから。



修司のことを目で追っていると誰かが転んだのか、みんなが一箇所に駆け寄っていく。


試合が中断したところで、私はようやく校庭から視線を逸らした。





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