君が涙を忘れる日まで。
二年になってもうすぐ一ヶ月。
香乃と修司がいる教室にも、だいぶ慣れてきた。
自分の気持を消し去ろうと決めたのに、同じクラスになってしまった時は本気で神様を恨んだ。
でも香乃のことを思えば……そんなのはとても些細なこと。
こうして自分の席に座っていても、見なければいいんだから。
香乃を避けていた時の胸の痛みに比べれば、香乃と一緒に笑い合える方がましだ。
笑ってた方が……。
誰もいない教室のはずなのに、真っ直ぐ前を見ていると、彼の背中が見えてくるようだった。
授業中、顔は見えなくても彼の顏を思い浮かべるのはとても簡単で、今黒板の文字を真剣に見てるんだなとか、肩を揺らして笑ってるとか、隣の席を見て……微笑んでるなとか。
そう思う度に、私の心は曇っていく。
私は席を立ち、いつも見ている二人の席の間に立った。
自分が苦しみたくないからって、私は一度香乃を傷つけた。
もう二度と香乃を悲しませないと、傷つけないと誓ったんだ。
でも……。
どうかほんの少しだけ、本当の気持を吐き出してもいいですか?
黒板の前に立った私の手には、白いチョーク。
どうか……たった一度だけ、この瞬間だけでいいから……。
私は……。