君が涙を忘れる日まで。


部活が終わって着替えを済ませ校舎を出ると、地面が少し濡れていることに気付く。

部活中に雨降ったのかな?吹く風が少しじめっとしている。


学校を出た所で一度スマホを確認すると、いつものように香乃からLINEが入っていた。


[部活終わったかな?お疲れさま]

送信時間は今から三十分前、男バスの練習が終わってすぐ送ってくれたんだろう。


香乃は、前よりも頻繁にLINEを送ってくれるようになった。

どこか私に気を遣ってるんだと気付いていたけれど、それを聞くことすら出来ない。


スマホを鞄に入れ、再び歩き出した。


十七時半を過ぎてもまだ空は少し明るくて、薄くオレンジ色に染まっている。

日が落ちるのが遅くなってきたな。
でもこれから梅雨か、私の嫌いな季節だ。


二年生が終わるまで、あと約十ヶ月。長いな。


三年生になったら、二年間同じだった修司とは多分クラスが離れる。

そうしたら、今よりも気持ちは楽になると思う。

だけど卒業式を迎えた時、私は心から笑って香乃と写真を撮ることができるんだろうか。

正直全然想像できないけど、もしかしたら新しく好きな人とかできるのかな。


そうなってくれたらいいのに。





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