君が涙を忘れる日まで。
橋を渡っているとその先にラッキーロードが見えて、チクっと胸が痛む。
川沿いを歩いていると、嫌でも思い出す。
考えたくないのに、勝手に頭に浮かんできてしまう。
なかなか話しかけられなくて、その背中を追いかけるようにして歩いているだけで、幸せだと思えた通学路。
卒業までの間、私はずっとこんな気持ちのままこの道を歩かなければいけないんだろうか。
それとも、いつか消えてくれるのかな……。
駅が見えてきたところで、駅前の大通りの赤信号で立ち止まった。
香乃はもう帰ったかな。修司と一緒に……。
俯き地面を見ていると、視界に入っていた周りの人達の足が一斉に動き始めた。
少し遅れて歩き出した私は、ようやく顔を上げる。
けれど横断歩道を半分渡ったところで、私は足を止めてしまった。
「……あっ」
信号の先の通りを歩いている、香乃と修司を見つけたから。
私より先に帰ったはずなのに、どこか寄り道をしていてこれから電車に乗るんだ。
立ち止まっている私の横を、足早に通り過ぎる人の陰。
このまま横断歩道を渡ったら、二人に会ってしまう。このまま渡ったら……。
私に気付いた香乃が、笑顔で『一緒に帰ろう』と言ってくる姿が頭に浮かんだ。
二人きりで帰るはずだったのに、私が邪魔をしてしまう。
その時修司は、どんな顔をするだろう。
いつもみたいに穏やかな笑顔を浮かべるのか。
それとも、残念そうな顔を……。
私は右足をゆっくりうしろに引いた。
川沿いを歩いていると、嫌でも思い出す。
考えたくないのに、勝手に頭に浮かんできてしまう。
なかなか話しかけられなくて、その背中を追いかけるようにして歩いているだけで、幸せだと思えた通学路。
卒業までの間、私はずっとこんな気持ちのままこの道を歩かなければいけないんだろうか。
それとも、いつか消えてくれるのかな……。
駅が見えてきたところで、駅前の大通りの赤信号で立ち止まった。
香乃はもう帰ったかな。修司と一緒に……。
俯き地面を見ていると、視界に入っていた周りの人達の足が一斉に動き始めた。
少し遅れて歩き出した私は、ようやく顔を上げる。
けれど横断歩道を半分渡ったところで、私は足を止めてしまった。
「……あっ」
信号の先の通りを歩いている、香乃と修司を見つけたから。
私より先に帰ったはずなのに、どこか寄り道をしていてこれから電車に乗るんだ。
立ち止まっている私の横を、足早に通り過ぎる人の陰。
このまま横断歩道を渡ったら、二人に会ってしまう。このまま渡ったら……。
私に気付いた香乃が、笑顔で『一緒に帰ろう』と言ってくる姿が頭に浮かんだ。
二人きりで帰るはずだったのに、私が邪魔をしてしまう。
その時修司は、どんな顔をするだろう。
いつもみたいに穏やかな笑顔を浮かべるのか。
それとも、残念そうな顔を……。
私は右足をゆっくりうしろに引いた。