君が涙を忘れる日まで。
修司とは驚くほど気が合って、まるで昔から知っているかのようにお互い遠慮の欠片もなく、あっという間に気を遣わなくてすむ関係になった。
最近俺に影響されたのか、真面目一直線かと思っていた修司が冗談を言ったりボケたりするようになった。
まぁ修司の場合は天然ボケかもしれないという疑いもあるが。
視線の先にいる修司は、どうにか相手のボールを奪おうと必死に手をだしたり足を動かしている。
動くのはいいことだけど、やみくもにただ走るだけじゃ上手いやつからボールを奪うのは難しい。
でも、諦めずに必死に食らいつくのは修司のいいところでもあるな。
全員が一対一を終えた所で、これから二年対三年の試合を始めるらしい。
つまり俺たち一年は隅っこで地味に練習の時間だ。
「はぁ……やっぱ一対一はヤバい疲れる」
首にタオルを掛けたまま、息を切らしている修司。
試合が始まるまでの僅かな時間、休憩をするため俺たちは壁に寄り掛かって座った。
「全然取れないのに、修司の諦めない精神はなかなか凄いよな」
「それ褒めてんの?」
「一応そのつもりだけど」
「んじゃありがたくもらっとく」
体育館の半面ではバレー部が練習をしていて、俺たちのすぐ横では女子のバスケ部が練習をしていた。
ボーっとしながらバレー部を見ていると、修司が肘で俺の腕を突っついた。
「なんだよ」
「ちょっと見てみ、あの子凄い上手くない?」
女バスの方を見ながら呟いた修司。
「は?どれ?」
「ほら、あの子、一つに結んでて黒いTシャツ着てる。あれ、多分同じクラスの子だ」